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追儺

追儺 森鴎外 悪魔に毛を一本渡すと、霊魂まで持つて往かずには置かないと云ふ、西洋の諺がある。 あいつは何も書かない奴だといふ善意の折紙でも、何も書けない奴だといふ悪意の折紙でも好い。それを持つてゐる間は無事平穏である。そ […]

経世の学、また講究すべし

経世の学、また講究すべし 福沢諭吉 ある人いわく、慶応義塾の学則を一見し、その学風を伝聞しても、初学の輩はいはもっぱら物理学を教うるとのこと、我が輩のもっとも賛誉するところなれども、学生の年ようやく長じて、その上級に達す […]

慶応義塾学生諸氏に告ぐ

慶応義塾学生諸氏に告ぐ 福沢諭吉 左の一編は、去月廿三日、府下芝区三田慶応義塾邸内演説館において、同塾生褒賞試文ほうしょうしぶん披露の節、福沢先生の演説を筆記したるものなり。 余かつていえることあり。養蚕ようさんの目的は […]

D坂の殺人事件

D坂の殺人事件 江戸川乱歩 それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒はくばいけんという、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜すすっていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれ […]

字余りの和歌俳句

字餘りの和歌俳句 正岡子規 短歌三十一文字と定まりたるを三十二文字乃至三十六文字となし俳諧十七字と定まりたるを十八字乃至二十二三字にも作る事あり。これを字餘りと云ふ。而して字餘りを用うるは例外の場合にて常に用うべきにあら […]

能因法師

能因法師 岡本綺堂 藤原時代。秋のなかば。 洛外の北嵯峨。能因法師の庵いほり。 藁葺の二重家體にて、正面の上のかたに佛壇あり、その前に經卷をのせたる經机を置く。 佛壇につゞきて棚のやうなものを調しつらへ、これに歌集または […]

遊園地工作

遊園地工作 宮沢賢治 歳は世紀に曾つて見ぬ 石竹いろと湿潤と 人は三年のひでりゆゑ 食むべき糧もなしといふ ▶ 続きはこちら

もう軍備はいらない

もう軍備はいらない 坂口安吾 原子バクダンの被害写真が流行しているので、私も買った。ひどいと思った。 しかし、戦争なら、どんな武器を用いたって仕様がないじゃないか、なぜヒロシマやナガサキだけがいけないのだ。いけないのは、 […]

帽子のない水兵

帽子のない水兵 田中貢太郎 まだ横須賀行の汽車が電化しない時のことであった。夕方の六時四十分比ごろ、その汽車が田浦を発車したところで、帽子を冠かぶらない蒼あおい顔をした水兵の一人が、影法師のようにふらふら二等車の方へ入っ […]